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2015年11月14日土曜日

R18BL短編『うそつき』(1)


はじめにこちらをお読みください。




(1)


『じゃあ、土日に泊りがけで何処か行こうか。』

『そうだな、温泉とか行かない?部屋に露天風呂がある処とか。』

 俺を喜ばせるような約束ばかり沢山して、結局貴方は一度も守ってくれることは無かったね。

守れない約束なんて、最初からするなよな。

いつだって、『どうせまた……。』って、分かっているのに期待してしまう。

『今度来るときは、泊まるよ。』

そんなこと無理だってことくらい、分かってるよ。

週末は、貴方と奥さんのものだって、ちゃんと分かっていたし、文句なんて言ったことなかった。

       *

あの人と出会ったのは、俺がバイトをしていたファッションビルの周年祭の催事の時。

取引先のアパレルメーカーから応援に来ていた中の一人だった。

 いつも営業に来ていた担当は別の人だったけど、その日は売り出し初日で、人員が足りないから、どのメーカーも担当以外に応援人員として何人か出してくれていた。

 勿論、自分のところの商品をより目立つ所に陳列して、少しでも売り上げを上げる為だけど。
背が高く、少し日本人離れした端正な顔立ちのその人は、初対面の人が何人もいる中でも、一際目立っていた。

「ごめんね、千聖(ちひろ)くん、遅くなったけど休憩に行ってきて。一時間取ってくれていいから。」

 店長にそう言われた時は、もう午後三時を回っていた。

「はい、じゃあ行ってきます。」

「あ、千聖くん、悪いけど、こいつも連れてってくれる?」

バックヤードから出たところで、俺を呼び止めたのは、取引先の中では、わりと顔見知りで、よく話をすることのある、高岡さんだった。



続きます。。。

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