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2015年11月15日日曜日
R18BL短編『うそつき』(2)
はじめにこちらをお読みください。
(2)
「こいつもまだ休憩行ってないんだけど、この辺初めてだからさ。」
「え…… はい、いいですけど。」
こいつ、と高岡さんが指差したのが、あの一際目立っていたイケメンだった。
「悪いね。」と、にっこり笑ったその人は、優しそうな上に、文句なしにカッコよくて、大人な感じで、俺はその笑顔にすっかり騙されてしまった。
*
もう三時も回っているのに、飲食店はどこもいっぱいで、結局てっとり早くファーストフードの、ガラス張りで通りに面しているカウンター席に座り、肩を並べてハンバーガーを食べた。
「へえ、君、バイトくんなんだ。えーと.…」
「樺木です。」
俺がそう応えると、その人は笑いながら言った。
「樺木くん?じゃあ、かばちゃん…?」
――か、かばちゃん…?
名字で、そんな風に呼ばれたのは初めてで、しかもずっと年上で取引先の初対面の人に言われて、冗談なのか本気なのか分からずに、俺は一瞬固まってしまった。
「て、呼んでもいいけど…、うーん、そうじゃなくて下の名前、なんだっけ。」
「ち、千聖です。樺木千聖。」
「そうそう、千聖だ。さっき店長に名前呼ばれてたじゃない。うん、可愛い名前だね、じゃあ千聖って呼んでいい?」
――な? いきなり呼び捨て?
「あはは、真っ赤になっちゃって、可愛いな千聖は。」
「か、可愛くなんかないです!」
なんか、見た目はモデルみたいだし、カッコいいし、大人だって思っていたのに、中身は全然違うっ!
「俺は、西脇志芳(にしわき しほう)っての。あ、志芳って呼んでね。」
見た目の好印象とは違い、中身は軽いっていうのが第一印象だった。
*
「千聖くん、もう時間だし上がっていいよ。お疲れ様。」
店長に言われて時計を見ると、十九時を回ったところ。
営業時間は二十一時までだけど、俺の今日のシフトは十時から十九時までだった。
まだ店内は、かなりの入りで商品も乱れに乱れている。
「大丈夫ですか?俺、少しくらいなら残業しても良いですよ?」
続きます。。。
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