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2015年11月20日金曜日
R18BL短編『うそつき』(7)
はじめて読む方は、こちらから。
(7)
「……な……に……言って…… 結婚してる…… くせに……。」
「大丈夫、俺、男も女も、どっちもいけるタイプだから。」
は?…… そういう問題じゃないと思うんだけど…… と、反論したいのに、何故か上手く喋れなくて、なんか瞼が重くて。
―― あれ? どうしたの? ――
西脇さんの声が、すごく遠くに聞こえた気がしていた。
*
唇に何か冷たくて柔らかいものが触れて、僅かに開いた隙間から咥内へ少量の水が流れ込んでくる。
なんだか凄く喉が渇いていたから、俺は戸惑うことなく喉を鳴らして、それを飲み込んだ。
――あれ? なんだ? 今の……。
なんか夢をみていたような気がするんだけど……
漸く意識が覚醒してきて、薄く瞼を開けると…… 綺麗過ぎる男の顔が目の前にあった。
「目、覚めた?」
「はぁ。」
至近距離に見える西脇さんの顔が、うす暗い灯りに照らされていて、その後ろには見たことのない天井が……。
――え?
俺は驚いて起き上がろうとした。
だけど身体が重くて、いうことを利かない。
「どうしたの?もっと飲む?」
そう言って、ベッドの縁に座っている西脇さんは、手にしているグラスを揺らした。
カランと、グラスの中の氷が音を立てる。
上手く思考が働かなくて、今の状況が掴めない。
「あ、あの、ここどこですか。」
「どこって……、ホテルの部屋だけど?」
そう言って、西脇さんはグラスの水を口に含んで、俺の唇にそれを重ねてきた。
「―― んっ!」
唇の隙間から、さっきよりも多めの水が、俺の咥内に送り込まれてくる。
口端から一筋溢しながら、流込んできたそれを、俺はどうすることもできずに、コクッと音を立てて、飲み込むしかなかった。
続きます。。
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