2017年3月28日火曜日

『出逢えた幸せ』 第二章:迷う心とタバコ味の……(7)

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第二章:迷う心とタバコ味の……(7)



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 ―― ばかっ!俺のばかっ!


 すげえ罪悪感…… だけど意思とは裏腹に、俺は下着の中へ手を伸ばす。
 恐る恐る、半身に指を絡めたら、もう自制は効かなかった。


『…… 直……』


 優しく俺の名前を呼ぶ声なんて、容易く脳内再生できてしまう。
 しなやかな身体で抱きしめられて、その腕や胸板の感触を思い出して……。


「…… んっ……」


 首筋を撫でて、胸の突起に辿り着いた熱い舌が、何度も円を描くように舐めて、吸い上げられる。


「…… あっ……」


 甘噛みされて、堪えきれなくて声をあげてしまう。
 中に挿ってくる長い指に、あの初めての場所を探り当てられて、嬌声をあげた。
 そして、透さんの熱い猛りに、そこを何度も……。


「あぁっ…… 透さんっ……!」


 想像の中の透さんの動きに合わせて、俺は半身を扱く手を速めていく。
 脳裏に浮かぶ自分は、透さんの下で揺さぶられて、乱れて、もっとと、強請る。


「-- あ… っ、イくっ」


『イっていいよ、直』


 耳元で囁かれた声が、腰の奥へとダイレクトに響いて、目の前がスパークした。


「あ……っ、ん……ん……」


 急いで取ったテイッシュの中へ、思い切り欲を吐き出して、がくりと頭を垂れた。
 射精後の脱力感の中で、後悔と空しさが込み上げる。


「…… マジかよ、俺……」


 透さんをオカズにするなんて……、ありえないっ…。
 もしまた、どこかで偶然でも会えたりしたら、きっともう、まともに顔も見れない。

 …… でも…、

 それでもやっぱり、俺……。


 ―― 透さんに……、逢いたい…… なんて、思ってる。



 *****



 もやもやした気持ちのまま、今年最後のバイトの日がやってきた。
 透さんの家で、夜を過ごしてから、初めての金曜日。


 ―― 透さんは、来るかな…… いや、来るわけないよな……。


 そんなことを考えるなんて、俺は、何を期待してるんだろう。
 電話番号を登録しなかったから、もしも透さんとまた会えるとしたら、このカフェしかないけど、もしかしたら、もうここにも来ないような気がするし。
 そう考えると、胸の辺りがツンっと痛い。
 でも、それで良い、このまま会えなくなる方がいいんだ。
 このまま会わなければ、あの夜の事も、いつか忘れる事が出来る。…… 無かった事に出来る。そう思い込もうとしていた。


 ―― なのに……、透さんは、来た。いつものように、スーツを着て。


 店に入ってきた時も、席に着いてからも、真っ直ぐに俺を見ている。


 ―― ああ、もう……、なんでそんなに、優しい目で見るんだよ。


 いつものように、透さんのテーブルに注文を訊きに行く。


「…… いらっしゃいませ」

「…… こんばんは、直くん」

「…… こんばんは、あの……、こないだは…えと、」


 何か言わないと…… と、思うのに、言葉が続かない。


「直くん、今日はバイト何時まで?」


 言葉を詰まらせた俺に、優しく微笑みながら、透さんはそう言った。


「えと、7時までですけど……」

「じゃあ、待ってるから、一緒に食事に行かない?」

「え……?」

「…… 駄目かな?」


 艶々した漆黒の瞳が、見上げてくる。


 ―― ああ、もう!何その、上目遣いは! 大人で色っぽいのに、可愛いとか、反則だよ!


「…… いえ……、」


「じゃ、直くんがバイト終わる頃に、外で待ってるね。あと、コーヒーお願いします」


 俺の返事を最後まで待たずに、透さんは言葉を被せるようにそう言って、にっこりと笑う。
 結構、強引だ。でも……、透さんが、俺に逢いに来てくれた……。
 それは、やっぱり戸惑う気持ちもあるけれど、嬉しくて……、バイトの残りの時間、ずっと顔の筋肉は緩んでいたみたい。


「何か、良い事でもあった?ニヤニヤして」と、フロアマネージャーに、言われてしまうくらいだったから。







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