2017年5月12日金曜日

『出逢えた幸せ』第二章:迷う心とタバコ味の……(19)

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第二章:迷う心とタバコ味の……(19)



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「おー啓太、来てたのー?明けましておめでとー!」

「うぁっ、あ、梓さん、おめでとうございますー」


 姉ちゃんの登場で、後退りする啓太。 昨年の恐怖が蘇ってるのか? それだったら、今年もわざわざ罠に嵌りに来なくていいのに。
 お雑煮の餅を食べながら横目で啓太を見ると、恐怖と言うよりも、頬を赤らめてなぜか嬉しそうな顔をしている。


 ―― え? ホントにM体質なの? 啓太。


「啓太もいる事だし、恒例の大富豪、始めようかっ!」


 姉ちゃん、やる気満々過ぎ! 大きな声にびっくりして、餅が喉に詰まりそうになったじゃねーか。


「ちょ、雑煮食べ終わるまで、待ってって……、あれ? 一哉さんは?」


 そう言えば、起きてから姉ちゃんの旦那さんの一哉さんを見ていないんだけど……。


「あー、カズくんね。 なんか朝から友達と約束があるって言って出かけたのよ」

「ええええええええええええっ!?」


 ―― 逃げたなっ、一哉さん……。


 罰ゲームの対象になりそうな仲間が一人減った事に、箸を落としそうになった。
 これで俺と啓太と親父の3人で、最下位争いをする事になったわけだ。


 ***


 ただ今、4回戦が終わって最終戦をやっている最中。
 予想通りの席順で、進んでおります。
 大富豪が姉ちゃん、富豪がテルさん、平民が親父、貧民が俺、ど貧民が啓太。
 ど貧民にさえ、ならなければ良いんだ。このままの流れなら、今年も罰ゲームは啓太に決定の筈…… だった。


「今年は負けないぞ、直」

「え?」


 俺を横目で睨みながら、挑戦的な台詞を吐く啓太に、俺は驚きを隠せないんだが……。


「お前、今年も姉ちゃんの下僕になりたいんじゃなかったの?」

「はぁ? んな訳ないだろ? 昨年のあの屈辱、今年はお前に味わわさせてやるのが、今日の一番の目的なんだからな」


 何それ!? なんで俺に敵対心剥き出しなの?


「だって、さっき姉ちゃんが部屋に入ってきた時、お前、めちゃ嬉しそうにしてたじゃん」

「え? そう? あ、でも梓さんに会えるのは楽しみにしてたよ」

「なんで?」

 ―― 「…… 俺の初恋……」


 俺にしか聞こえないように、耳元で小さい声で啓太が囁いた。


「うそっ!」

「ホント……」


 まじかよ…… だから毎年遊びにくるのか、こいつ。


「まぁでも、小さい時の想いだから、それをどうこうしたいって事は、全くないけどね」


 …… って、笑ってるけど、新年早々の啓太の告白に、少々びびってしまって、俺は気もそぞろになっていたのかもしれない。
 どんどん悪くなっていく持ち札に、気が付くのが遅かった。







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