2017年6月23日金曜日

第三章:身体と愛と涙味の……(3)

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第三章:身体と愛と涙味の……(3)



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 啄むようなキスを何度も繰り返して、唇が離れたかと思うと、悪戯っぽい眼でじっと見つめてくる。


「あー、もー、なんか かわいいー」


 何が、どうして、どこが可愛いんだか、褒め言葉にだけは聞こえないんだけど。

 呆気に取られている俺の身体をギュっと抱きしめるお兄さん。


「んー、直ってノンケだと思ってたけど、もしかして『とおるさん』って、彼氏なのかなー」


 ―― 彼氏……。


 言葉に詰まってしまう。

 脳裏を過ぎるのは、彼女と腕を組んで歩く透さんの姿。

 愛の言葉を交わしたわけでもなく、何の約束をしたわけでもなく、身体だけの関係だと言われてしまえば、その通りだし。

 だけど、気が付けば透さんの事を考えてしまっている自分は……。

 それだって、初めて男に抱かれて、それが案外気持ち良くて、ただ快楽に流されていただけなのかもしれなくて、自分の気持ちにも自信がない。


 ―― それに透さんは……。


 他の人と結婚しても、それでも好きな彼女がいて……。

 だから……、透さんと俺の関係は、恋人ではないんだと思う。

 それは確かだと思った。


「か、彼氏じゃ、ないです」


 と、自分で言った言葉に、なんでか自分で傷ついてしまう。 相手は男なのに。 好きな人がいる事も知っていたのに。 何故だろう…… 物凄く、心が痛い。


「ふーん、そっか。 ま、俺はどちらでもいいけど……、だけど……」


 言いながら、また啄ばむように、リップ音を立てながらキスをして、俺の目を見つめる。


「そんな悲しそうな顔をしていたら、彼氏がいたとしても関係なく、慰めてあげたくなっちゃうし」

「へ?」


 いや、俺そんな、悲しそうな顔してるのかな。


「直は、その人のこと、好きなの?」


 ―― 好き、なのかな。でも……。


「…… わ、からない……」


 小さく首を横に振って、小さい声で答えたのは、自分の気持ちに自信がないから……。

 
「そっか、まぁ、俺はどうやら直のことを気に入っちゃったみたいだし……、それに、ここ……」


「ここ」と言いながら、お兄さんは、さっきイったばかりの俺の半身を指でなぞった。


「…… っ!」

「勇樹のやつ、どんだけ薬飲ませたのかな。 直の、まだまだ元気なんだけど」


 確かに硬度を保ったままのそこは、お兄さんに軽く触れられただけで、ぴくりと脈打った。


「彼氏じゃないなら、義理立てする必要もないし、ね?」


 俺の顔を引き寄せて、耳元に囁く。


「俺は、直のこと好きだし」


 耳の中を舐められて、ぶるっと、肌が粟立った。


「だから、もっと気持ちいい事しよっか」


 耳たぶを甘噛みしながら、甘い言葉を囁かれて、まだ熱の冷めない身体は期待に疼いてしまうけど……。

 頭のどこかで、これ以上はダメだと思っているのに。


「ね?」


 首を傾げて、可愛く訊かれても、どうしたらいいんだか、訳が判らないと思っているのに。

 顎を掬い上げられて、唇を割り挿ってくる舌に、自然に応えてしまっていた。

 咥内で熱い舌を絡めて、お互いの唾液が混ざり合い、口端から零れて喉を伝い落ちる。

 激しくお互いの唇を貪りながら、お兄さんは俺の服を脱がせていった。

 長い長いキスが終わる頃には、ニットもシャツも剥ぎ取られて、弱すぎる抵抗をする手首は、簡単にシーツに縫いとめられて、心の隅に残っていた少しの理性も、いつの間にか消えてしまっていた。


「ここからは、ただ薬を抜く為だけの行為じゃないよ」


 言ってる意味が判らなくて見上げると、お兄さんは、真剣な眼差しで俺を見つめ返してくる。


「直の心も身体も全て欲しい」


 言いながら、何度も触れるだけのキスをして、


「好きだよ、直」


 と、何度も繰り返し、愛の言葉を俺の耳元に囁いた。


 ―― 好きだよ……。


 その声が心地良くて、俺はその甘い言葉に、すっかり酔わされてしまっていた。







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