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2017年11月12日日曜日

『出逢えた幸せ』第四章:想う心と〇〇な味の……(4)

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第四章:想う心と〇〇な味の……(4)



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「分かりました。では、ごゆっくり」

 森岡さんが柔らかい笑顔で会釈をして部屋を出て行き、ドアが閉まるのを確認してから、みっきーは俺の方へ視線を戻した。

 どうしたんだろう。 誰も部屋に入れるなとか、車の中にいる時から何かいつもと違う感じはしていたけど。

 俺はまだ二人と知り合って間がないから、詳しいことは分からないけど、みっきーが海外なんかにふらっと出かけて、暫く留守にする時も、店はもちろん、いろいろな雑務も森岡さんに任せっきりにできるくらいには、信頼しているみたいだった。

 そんな森岡さんにも、聞かれたくない話って事なのかな。

「なんなの? 人に聞かれたくない話なの?」

「んー、そうだな。聞かれたらマズイって言うよりも、直と二人きりになりたかったからかなー」

「なんだよ、それ! でも何か話があるんでしょ?」

「まあまあ、いいから、取り敢えずサンドイッチでも食べて。 お腹空いてるでしょ?」

 そう言って、俺の目の前にサンドイッチのプレートを近づける。
 
 なんとなく、話を逸らされたような、それとも、言い難くて先延ばしにしているような……。

 でも、本当に案外どうでもいい話なのかなって、ちょっと身体の力が抜けて、目の前のサンドイッチを摘んだ。

「美味いな、このサンド」

「でしょ?」

 ちょうど小腹も空いてて、遠慮もせずにバクバク食べる俺を、みっきーは楽しそうに見ている。

「……ひっきー、はへないほ?」

「直、口にいっぱい入れすぎだよ」

 みっきーが食べてないから、食べないの? って言ったのに、口に入れたまま喋ってしまったから上手く喋れなくて、大笑いされてしまう。

「ほら、マヨネーズ付いてるし………」

 言いながら、俺の唇の端に付いてるマヨネーズをみっきーが指が拭って、その指を……ペロッと舐めた。

「……」

 なんか…前にも似たような事が……。
 一瞬……脳裏に浮かんだ光景に、胸がキュッと痛くなった。

 あの時は、クリスマスケーキの生クリームだった……。

 あれが、きっかけだったんだ。

 透さんは、あの時どうして俺なんかに、あんな事したんだろう。
 
「ん? どうした?」

 その光景に意識を持っていかれて、心配してくれているみっきーの声も遠くに感じて、代わりにあの時の透さんの声が甦ってくる。

 ——『…… 直くん』

 『俺と一緒にいるの、嫌?』

 嫌なんかじゃ……、なかった。 もっと一緒にいたいと思ったんだ。……だから……。


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