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第四章:想う心と〇〇な味の……(6)
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店内で流れている音楽が、低く聴こえている。
古木風に仕上げたアンティークなウッドフロアを歩く靴の音すら、この部屋まで届いている。
さっき俺が椅子から落ちた音や声も、店の方に聞こえてるんじゃないかと思う。なのにみっきーは、全然止める気配がなくて、服の下へ侵入してきた手は、胸の尖りを撫で回している。
密着した腰が、ジーンズ越しにお互いのモノが硬く主張している事を教えてくる。
「……ンっ……ん、……っ」
俺は、今にも零れ落ちそうな涙と、嫌でも漏れてしまう甘い声を隠したくて、片方だけ解放された腕を自分の顔に押し付けた。
与えられる刺激は気持ちよくて、中心に熱が集まるのを止める事ができなくて、半ば…… もう、このまま流されてもいいか…… なんて考えが頭を過ぎる。
「直、もう透の事は忘れなよ」
耳を擽るような、いつもよりも一段と低い声に、ゾクリと身体が反応するけど……、なんとなく聞き流した言葉に、ふと、引っかかりを覚えた。
あれ?……今、「透」って呼び捨てにしなかった?
確かに……透って呼び捨てた。
偶々なのか? それとも、俺がいつまでも、グズグズと考えているからイラついた?
「……俺にしときなよ」
みっきーは続けてそう囁くと、俺の耳に唇を押し付けて、苦しい程に抱き締められた。
「……みっき?」
顔を隠した腕を上げて、みっきーを覗き見ると、少し困った顔をして微笑んでる。
「……何か、あったの?」
今日のみっきーは、どこか変だと思った。車に乗ってる時からずっと。
「もしも、もしもだよ? 俺と会えなくなったら、直は寂しい?」
お互いの鼻先が触れ合うくらいの距離で見つめられて、みっきーは少し甘えたような声でそう言った。
「……? そりゃ、寂しいと思うけど? どっか行くの? みっきー」
さっきまであんなに抵抗しても放してくれなかったのに、みっきーは俺を抱き起こすと、傍の椅子に座らせてくれた。
「少しの間、会えなくなるのじゃなくて、もう二度と会えなくなったとしたら、直はどうする?」
「え?」
どうするって言われても……あまりにも唐突過ぎて、意味が解らない。みっきーが何を言いたいのか。
二度と会えなくなるって、どういうことなんだろう。
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