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2017年11月21日火曜日

『出逢えた幸せ』第四章:想う心と〇〇な味の……(6)

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第四章:想う心と〇〇な味の……(6)



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 店内で流れている音楽が、低く聴こえている。

 古木風に仕上げたアンティークなウッドフロアを歩く靴の音すら、この部屋まで届いている。

 さっき俺が椅子から落ちた音や声も、店の方に聞こえてるんじゃないかと思う。なのにみっきーは、全然止める気配がなくて、服の下へ侵入してきた手は、胸の尖りを撫で回している。

 密着した腰が、ジーンズ越しにお互いのモノが硬く主張している事を教えてくる。

「……ンっ……ん、……っ」

 俺は、今にも零れ落ちそうな涙と、嫌でも漏れてしまう甘い声を隠したくて、片方だけ解放された腕を自分の顔に押し付けた。

 与えられる刺激は気持ちよくて、中心に熱が集まるのを止める事ができなくて、半ば…… もう、このまま流されてもいいか…… なんて考えが頭を過ぎる。

「直、もう透の事は忘れなよ」

 耳を擽るような、いつもよりも一段と低い声に、ゾクリと身体が反応するけど……、なんとなく聞き流した言葉に、ふと、引っかかりを覚えた。

 あれ?……今、「透」って呼び捨てにしなかった?

 確かに……透って呼び捨てた。

 偶々なのか? それとも、俺がいつまでも、グズグズと考えているからイラついた?

「……俺にしときなよ」

 みっきーは続けてそう囁くと、俺の耳に唇を押し付けて、苦しい程に抱き締められた。

「……みっき?」

 顔を隠した腕を上げて、みっきーを覗き見ると、少し困った顔をして微笑んでる。

「……何か、あったの?」

 今日のみっきーは、どこか変だと思った。車に乗ってる時からずっと。

「もしも、もしもだよ? 俺と会えなくなったら、直は寂しい?」

 お互いの鼻先が触れ合うくらいの距離で見つめられて、みっきーは少し甘えたような声でそう言った。

「……? そりゃ、寂しいと思うけど? どっか行くの? みっきー」

 さっきまであんなに抵抗しても放してくれなかったのに、みっきーは俺を抱き起こすと、傍の椅子に座らせてくれた。

「少しの間、会えなくなるのじゃなくて、もう二度と会えなくなったとしたら、直はどうする?」

「え?」

 どうするって言われても……あまりにも唐突過ぎて、意味が解らない。みっきーが何を言いたいのか。

 二度と会えなくなるって、どういうことなんだろう。


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