2017年11月3日金曜日

『出逢えた幸せ』第三章:身体と愛と涙味の……(33)

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第三章:身体と愛と涙味の……(33)



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 そうしてゆっくりと指を動かし続けながら、みっきーは俺が話すのを待っている。

 やだな……そんな風に優しくされたら、また泣いてしまいそうなんだけど。

 最後に見た透さんの、憂いを含んだ瞳が頭から離れない。

 ——直くん、最後に誤解だけは解きたいから言わせてね。

 俺の好きな柔らかい声で……、『最後に』って、言っていた。

「透さんの彼女と思っていた人、妹だったんだ」

「え? そうなんだ。じゃあ、障害ないじゃん。晴れて恋人になったにしては、何でそんな酷い顔してるの」

 恋人になんてなれない……。だって俺、透さんに酷いこと言っちゃった。

「……もう会わないって伝えたよ」

「え?」

「いいんだ、もう終わったから」

「いいって……、透さんは何て言ってるの?」

「……わかったって……」

「直は、それで良いの?」

「……うん、すっきりしたし……。もうこれで、透さんの事で悩んだり、考えたりしないでいいんだし……」

 俺の後頭部に、みっきーの大きな掌が包むように触れてきて、そのまま胸に引き寄せられた。

「……馬鹿だね、直は」

 ホント、俺って馬鹿。

 引き寄せられるまま顔を埋めたみっきーの胸は暖かくて、俺は目を閉じる。

 ——他に好きな人がいるのに、俺を抱いたくせに……。

 言わなくていい事、言っちゃって。

 胸の奥が、ズキズキしてて。

 俺は別に、透さんと付き合ってたわけでもなかったのに……。

 哀しくないのに、哀しくて……。


「……っ……う、――ッ」

 なのに、何でまた涙が出るかな。

「……だからもう、俺にしとけば?」

 笑いながらそう言って、みっきーがポロポロ零れる涙を指で拭ってくれる。

 なんでも冗談っぽくしちゃうのは性格なんだろうけど、本気で言ってくれてるんだってことは、俺にもちゃんと分かってる。

 でも……。

「……やだよ」

 わざと、ふてくされ気味に断ったのに、みっきーは可笑しそうにクスクス笑う。

「何で、嫌なの。こんなに優しいのに」

「みっきーの事好きだけど……、やっぱりその好きの種類は違うと思うし……」

「あれ? 俺の事は違うって判るんだね。透さんの好きは、どの好きか分かんないくせに」

「みっきーの事も、分かんないよ」

「なんだぁ? じゃあ、まだ俺にもチャンスはあるって事?」

「俺、好きの種類がどれなのか分からないのに、簡単にエッチしたりするのはもうやめるって事」

それは、透さんに言われて分かった事。

本当は、前から薄々気が付いていたのに……。

ずっと、知らないふりをしていた。



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