2017年12月1日金曜日

『出逢えた幸せ』第四章:想う心と〇〇な味の……(7)

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第四章:想う心と〇〇な味の……(7)



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「会えなくなるのは勿論寂しいけど、二度と会えないって……なんで?」

 知り合ったばかりで、そんなに月日は経ってないけど、急にいなくなったら、それはやっぱり寂しい。

 普通じゃ考えられないような衝撃的な出会いだったし、短い期間だけど、結構親密な(身体のことじゃなくて……)付き合いをしてると思うし……。

 出会ってから、今までのことを振り返りながら、じっとみっきーの顔を見つめて答えを待っていれば、

「実は、前から誘われていたんだけど……」

 と、なんだか言いにくそうに鼻の頭を人差し指で掻きながら、みっきーは言葉を続ける。

「……俺、メキシコに行こうと思うんだ」

「へ……?」

 —— メキシコ? なんでいきなりメキシコ?

 あまりも、いきなりな話に、現実味が沸かないんだけど!

「メキシコって……? そ、そりゃまた遠いね。何しに行くの?」

「飲食店をね……ファーストフード的な店をやらないかって話があるんだよ」

「へぇ~、でもなんでメキシコなの?」

「スパイシーなメキシコ料理、陽気なメキシカン、蛾の大群が俺を呼んでるんだよ」

 みっきーは上を見上げ、両手を広げ、大げさ過ぎるジェスチャーで、メキシコについて熱く語り始めた。

「ちょっ、蛾の大群ってなんなの」

「ん? あぁ、見た事ないけど、友人が言ってたから」

「なにそれ……」

 まぁ、みっきーらしいと言えば、みっきーらしいけど……。

「だからね、直……」

 急にマジモードで、俺に向き直るみっきー。たった今、戯けていたくせに。
 付いていけずに、呆気にとられている俺の足下に、何故かみっきーが跪いた。

「ちょ……、何してるの!」

 驚いている俺に構わず、みっきーは跪いたまま、両手で俺の手を握りしめた。

「みっきー?」

 なっ、なんだ? どうしたんだ?

 みっきーが何が言いたいのか、何をしたいの、全くわかんねえ!

「だからね、直……、俺と一緒に行かない? メキシコ」

 —— へ?

「な、何言ってんの、行かないよ!」

 間髪入れずに、「行かない」って、言っちゃったけど、この対応で合ってるよね? 別におかしくないよね? だって、メキシコだろ? しかもそこで住んじゃうってことでしょ?

 だけど、みっきーはと言うと、大げさに哀しそうな顔をして、あからさまに落ち込んでる。

「そんなに、あっさり断らなくても……」

 そう言って、俺の膝に顔を埋めて泣きマネをしている……。 あ、一応念押しておくけど、泣いてるんじゃないよ、泣きマネだからね!

「あ、あのさ、みっきー?」

「俺……、行っちゃったら、本当に今度いつ帰ってこれるか分かんないんだよ?」

「うん……」

「それでも、いいんだ?」

「んーー、でも、みっきーは行きたいんだろ?」

「……そうだけど……、でも俺と離れたくない……とか、そういう風には思わないの?」

 俺の膝に埋めていた顔を上げ、みっきーが上目遣いに真っ直ぐ俺を見詰めてくる。

 ……って、あれ? なんかホントに目がウルウルしてんじゃん。 マジで泣きそうなの?

「……んーーーー」

 そりゃ、いなくなるのは寂しい。でもみっきーのやりたい事を、俺が止める訳にもいかないし。 

 ど、どう言ったらいいんだ? こんな時……。


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