(HP版で読む)
「おはよう伊織。」
柔らかな声で名前を呼ばれて振り向くと、
ドアを開いて入ってきたその人は、
たった今、起きましたという顔で。
髪はボサボサで、パジャマのままで。
にこにこと笑って僕を見つめて立っていた。
優しい眼差しに、胸の中がほっこりと暖かくなった気がする。
僕には二人の父親がいる。
ひとりは、僕が生まれた時からずっと傍にいてくれた人。
母さんを愛して、僕を育ててくれた父さん。
そしてもうひとりが、目の前にいる、母さんの恋人だった人。
「おはよう、カズヤさん。」
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