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2017年3月17日金曜日

『出逢えた幸せ』第一章:聖夜と生クリーム味の……(16)


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第一章:聖夜と生クリーム味の……(16)




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 透さんにされているこの行為は、ありえない事の筈なのに、嫌と言う気持ちが全然無くて……。

 でも、こんな事しちゃ駄目だ、受け入れちゃいけない事なんだ、拒否しなくてはいけないんだって、頭の中では解ってる。

だって…… 相手は男なんだから……。


「…… やッ…… やめ…… ッ」


 その行為を止めさせようと、透さんの肩を手で押しやろうとするけど、両手首を掴まれて、そのままソファーに押し倒された。


「…… ッ…… ん」


 小さ過ぎた抵抗の言葉は、唇で塞がれて、あっけなく透さんの咥内に吸い込まれていく。

 すぐに俺の舌は、甘く絡め取られて、咥内を熱で蕩けさせられてしまう。

 掴まれていた手首も、いつの間にか力を失っていて、気付かない内に透さんのキスに応えている。

 薄く瞼を開ければ、至近距離で、情欲に濡れた漆黒の瞳と視線が絡んだ。


「…… っ…… ふ…… ん、ん……っ」


 俺の体の上に覆い被さるようにして、透さんは更に深く唇を重ねてきた。

 透さんの足が、俺の閉じていた膝を割り入ってきて、軽く股間の辺りを刺激している。


 —— え?…… 待って、待って! これって、もしかして、本当にヤバいんじゃないの?


 このまま流されたらダメなんじゃないの?

 男の俺なんか相手に、なぜか本気になってるみたいだけど、もしかしたら透さんだって、ただ酔っ払ってるだけなのかもしれないし。

 そうだよ。 なんでだかこんな状況になってるけど、やっぱり帰るって、はっきり言わないと!


「あっ! あのっ!」


「ん?」


 なんとか首を横に振り、やっと唇を離して、声を出した俺を、透さんは不思議そうにじっと見つめてる。


「あの…… やっぱ、俺……」


「帰りたい?」


 —— うっ……


 帰りたいってのとは違うんだけど…… 帰らないとやばい気が……。


「…… 寂しいな……」


 そんな綺麗な顔で、寂しそうな目で見つめられたら、何も言えなくなってしまう……。


「男の俺にこんな事されるの、嫌だよね……」


「い……」


 —— 嫌って言うべきだよな…… って分かってる。 だって男同士だもん。


 でも……、嫌か?って訊かれたら、嫌じゃない俺って、いったい何なんだろう?


「透さんは、男でもいいの?」


 答えに困って、思わず馬鹿な事を訊いてしまった。

 透さんは、一瞬だけ驚いた表情を見せたけど、すぐにクスッと笑う。


「俺も女の子の方が好きだったはずなんだけどね……。でも、直くんだから いいと思ったんだ」


「え…… ?」


 俺だからいい…… ?


「直くんは? どう思ってる? 俺のこと」






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