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第一章:聖夜と生クリーム味の……(4)
あの瞳に見つめられたら……、どんな女の子も虜になるんだろうな。
あの髪、きっとサラサラで指通りが良くて気持ち良いんだろうな。
そして、あの指に触れられたりしたら……、想像しただけでドキドキする。
―― え…… ?
いや……、ちょっと待て。
俺、何で顔熱いの。
と言うか…… 今、何想像したの、俺。
あの瞳に見つめられたら、どんな女の子も……ってのはそうだよね?
あの髪は、指通りが良くて、気持ち良いだろうな……ってのも、べ、別におかしくないよ。
だけどっ!
あの指が…… 何に触れるのを想像した?俺!
それで、このドキドキは、何だ?
そして顔が熱いんだけど、なんで?
「……」
混乱したまま、柱の影から一歩出で、二人のテーブルの方に視線を向けると……。
「うわっ……」
思わず小さく声を漏らしてしまった。
何故か、彼がこちらを見ていて……、
―― 目が合った!
俺は焦って、すぐに柱の影に隠れたけど、さっきよりも、どんどん顔が熱くなってしまう。
―― なんだこれ?なんだこれ?
心臓が壊れそうなくらい、ドキドキしてる。
別に男が好きというわけじゃなくて、もちろん恋愛は、女の子としか興味はない筈…… だけど……。
―― だけど…… じゃなくって!
そうだ違う、断じて違う。そんなわけないだろう?
あの人は、男なんだから。
そう、あれだ……、これはきっと憧れってやつ。
自分よりはるかに大人の男の魅力っての?自分には全くないもの……。
そういうのに、憧れる年頃なんじゃね?俺って。
俺もさ、社会人とかになる頃には、あの人みたいにカッコいい大人になりたいんだ。うん、そうだそうに違いない。
今は、『可愛い』とか言われて、それなりにモテたりもしてるけど、きっとあの人と同じくらいの歳になったら、こう、男の色気とかも出たりしてさ……。
だから……、だからさ、さっきの変な想像は、なし!なし!ちょっとした間違い。
落ち着け、落ち着け、俺。
何度も何度も、そう自分に言い聞かせても、暫くは胸の鼓動が治まらなくて……。
「何してるんだ、サボってないで仕事しろ。」
と、またフロアマネージャーに突っつかれてしまったのは、言うまでもない。
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